MESSAGEご挨拶
金沢大学保健学系精神看護学分野のホームページをご覧いただきありがとうございます。
精神科の病棟で初めて勤務した時、私は同僚であった医師をとおして、看護のための精神医学(中井久夫・山口直彦著,2001,医学書院)を読んで感動し、たくさんの同僚や当事者、そして学生の皆さんに支えられて、精神保健看護を続けてきました。
2020年、阪神淡路大震災から20年経過した時、当時被災者の心のケアに尽力された中井久夫先生の教室の安克昌先生をモデルにした映画とドラマ「心の傷を癒すということ」が放送されました。私は、偶然にも自宅でこのドラマを見て、安先生が20年以上前から、今WHOや厚生労働省で理念とされている社会的包摂を志向したケアをされていたことを知りました。「心の傷を癒すということ」を見て、私は若いころ初めて精神保健看護に携わった時の情熱がよみがえり、その後の20年間の実践や教育・研究がつながったような感覚になりました。
ケアには、時代が変わっても変わらない普遍的な真価と時代や社会の変化に伴う進化があります。グローバル化、情報・テクノロジーの飛躍的な進歩によって人間の活動の範囲が飛躍的に拡がっています。そのような進化の恩恵を受けながら、看護の真価を基盤として、地球人として、限りある資源を有効に活用し、人や環境にやさしいサスティナブルで誰もが享受できるようなヘルスケアを探求していきたいと思います。
看護を学ぶ皆様が、心のケアに誇りをもって、ご自身の生き方やあり方を大切にしながら、精神保健看護学を探求することができ、誰かの支えになることや社会貢献をとおしてさらに看護への誇りを確かなものにすることができるよう、ともに歩んでいきたいと思います。